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M&A専門誌マール

2014年12月号 242号 : マールレポート ~企業ケーススタディ~

KKRキャップストーン―― KKRの投資先企業に対して成長戦略を支援する専属チーム 有料記事です

キャップストーン設立の背景

左から谷田川 英治氏、鈴木 栄氏  2014年3月にパナソニックの全額出資子会社でヘルスケア機器の開発・製造・販売を行っているパナソニック ヘルスケアに投資したのに続いて、15年3月をめどにパイオニアのディスクジョッキー(DJ)機器事業への投資を決めるなど、このところ米国系プライベート・エクイティ(PE)ファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が日本で積極的な投資活動を展開して注目されている。

  KKRは1976年にヘンリー・クラビスとジョージ・ロバーツによって設立され、レバレッジド・バイアウト(LBO)に特化したPEファームとして業務を開始した。当時はまだバイアウトという概念がよく理解されていなかった時代で、ベアー・スターンズでバイアウト業務を手掛けた2人の創業者は先駆的存在といえる。80年代に入るとKKRの投資規模は拡大し、世界最大級の食品小売会社であるセーフウェイ・ストア(86年)、世界有数のアルカリ電池製造会社のデュラセル(88年)、消費者向け製品の世界最大手であるRJRナビスコ(89年)などを手掛けた。RJRナビスコ案件は06年まで歴史上最大のバイアウト案件として知られる。その後、10年7月15日、KKR & Co. L.P.はニューヨーク証券取引所に上場し、14年6月末時点で979億米ドルの運用資産を保有する総合資産運用会社へと発展している。この間、06年にKKRジャパンが設立され、10年7月には日本での1号投資案件としてUSENの子会社で総合人材サービス業のインテリジェンスへ投資(13年4月テンプホールディングスへ譲渡)している。

  パナソニック ヘルスケアへの投資は、KKRの投資ファンドが実質的に全株式を保有するパナソニック ヘルスケアホールディングス(PHCHD)を通じてパナソニック ヘルスケアの全株式を取得するというスキームで行われた。関連資産、商号使用許諾を含めて投資額は1650億円。その後、パナソニックはPHCHDの第三者割当増資を引き受け、20%の株式を取得し、取締役、監査役をそれぞれ1人派遣している。また、パイオニアのDJ事業については、パイオニアがDJ機器事業を会社分割によって15年3月2日付で移管するパイオニアDJをKKRが実質的に全株を保有するPDJホールディングスを通じて約590億円で買収。パイオニアはPDJHDの第三者割当増資を引き受けて14.95%の株式を保有するとともに、パイオニアDJに対してパイオニアDJの商標、商号を使用許可するというスキームで行われる。

  そのKKRが他のPEファンドと異なる特徴がある。「KKRキャップストーン」(以下キャップストーン)という専属のコンサルティング部隊を持っている点だ。KKR専属のコンサルティング部隊とはいっても、KKRとは資本関係や人的な支配関係がないという点も特徴といえる。インテリジェンスだけでなく、今回のパナソニック ヘルスケア、パイオニアのDJ機器事業投資にはこのキャップストーンがデューデリジェンス(DD)の段階から関与してきた。

  本レポートでは、KKRが投資先企業に対する価値創造のためのアプローチで重要な役割を果たしているキャップストーンについて、設立の背景、機能などをKKRジャパンの谷田川英治・ディレクターとキャップストーンの鈴木栄・ディレクターに聞いた。
 

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