M&A専門誌マール

2017年5月号 271号 : ポストM&A戦略

第101回 DDの失敗、可視化の失敗、コントロールの失敗 有料記事です

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)

  時々、企業の業績不振が「M&Aの失敗」として報じられることがある。その多くは、買収事業の業績が立ち行かなくなったこと、あるいは会計上の大きな問題が露呈したことについてのものである。しかし中には、当該M&Aがずいぶん前に実施されたケースもあり、そうするとこれをM&Aの失敗、特にデュー・デリジェンス(DD)の失敗として整理するには、少なからず無理があるようにも思われる。
  クロスボーダーM&Aが日本企業の成長に不可欠である以上、「クロスボーダーM&Aは、とにかくリスクが高いから気をつけよ」と一口にまとめてしまわず、長大なM&Aのどのステージで何をなすべきかについて、もう少し議論を分けて行うことが必要なのではないか。本稿では、このような問題意識のもとに、クロスボーダーM&Aの失敗要因を、「DDの失敗」「可視化の失敗」「コントロールの失敗」に大別し、解説を試みる。

M&Aの失敗:論じる難度の高いテーマ

  M&A、中でも特にクロスボーダーM&Aは、内容やプロセスが複雑で、そのために当事者が多くなることが特徴であろう。当事者が多いということは、人によって成功・失敗の見方がいろいろあり、各自の見えているものや理解度にもいろいろ違いがある、ということである。他人(社内他部門)に言いたくないことだって、当然ある。このことは、案件のクロージング後に「M&Aの振り返り」と称し、全体像を解明するエクササイズを行えばすぐにわかる。
  つまりM&Aとは、社内でよほどしっかりと、しかも腹蔵なく総括し、できれば社外の眼も入れて初めて本当のところがわかる、そんなややこしい話である。
  また、案件成立からずいぶんと時間がたって何らかの問題が出てくるケースでは、それがそもそもM&Aの問題なのか、という議論にもなろう。つまり、すでに長い時間が経過しているのであるから、M&Aの問題というよりは、その企業の事業や子会社に対するコントロール(ガバナンス)の問題、あるいは環境変化や危機に対処する組織能力の問題、と考えたほうがわかりやすそうだ。
  このように、「M&Aの失敗」は難しい要素を多く含む。理解するのが難しいと思えば、誰しもそれだけで慎重になるものだ。しかし一方で、事業成長に必要なM&Aに対して、慎重になりすぎるのも適切でないだろう。この局面でまず必要なアプローチは、物事を分けて考え、それぞれに議論を深めることである。そこで本稿では試論として、M&Aの時間軸、あるいはステップ観に沿って、M&Aの失敗の要因を「DDの失敗」「可視化の失敗」「コントロールの失敗」の3段階に分け、それぞれの概要と問題が起きた場合の対処方法を論じることとしたい(図1)。

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