M&A専門誌マール

2017年11月号 277号 : マールレポート ~企業ケーススタディ~

【YCPグループ】マネジメントサービス、投資、海外展開の3事業でグローバルな「プロ経営集団」を目指す 有料記事です

石田 裕樹(いしだ・ゆうき)

多彩なスタッフが参画して急拡大

  YCPグループは、2011年8月、経営人材の提供を行うマネジメントサービス会社「ヤマトキャピタルパートナーズ」(現YCP Japan)として設立されたのがスタート。

  同社を立ち上げたのは、ゴールドマン・サックス証券の戦略投資部から独立した石田裕樹氏を中心とするメンバーである。中堅・新興企業の支援を掲げた石田氏の新会社旗揚げに、友人を中心として続々と優秀なスタッフが参画してきた。その顔触れはボストン・コンサルティング・グループ、マッキンゼー、P&G、JPモルガン、UBS、オラクル、経済産業省、リクルートホールディングスと多彩だ。

  高まる海外展開の需要に対応するため、シンガポール、上海、香港、バンコク、ニューヨーク、ロンドンの6都市へ拠点を次々に設立、13年からは自己資金による投資も手掛ける。13年12月には香港にYCP Holdings Limitedを設立して持株会社化し、日本をはじめ海外拠点を傘下に収めた。さらに持株会社の下には、同社が「フォーカスインダストリー」と位置づけている「オーガニック消費財」、「飲食」、「ペットケア」については、ママ&ベビー市場をターゲットとした自社商品やサービス開発を行う「N&O Life」(13年4月設立)を、飲食カテゴリーにおいては自己資本でのフランチャイザー・フランチャイジービジネスを国内外で行う「YCP Dining」(13年6月設立)、動物病院運営を中心とした動物医療事業を行う「YCP Lifemate」(14年8月設立)を子会社として立ち上げて資金、人材などのリソースを提供して長期的な成長を実現する体制を敷いている。

  11年にスタートしたYCPグループは、コンサルティング・M&A・マーケティングの3つの領域においてアドバイザリーサービスを提供する「マネジメントサービス事業」をはじめ、中小・新興企業に対してリスクマネーを提供する「投資事業」、そして、クライアント及び投資先の海外展開を支える「海外展開支援事業」の3事業を展開、今では内外合わせて100人の規模へと拡大している。

  そこで、YCPグループを立ち上げた石田CEOに創業の背景と今後のグループビジョンをうかがうとともに、投資事業を担当している長谷川慧氏にYCPの企業再生の実際について語っていただいた。

<インタビュー>
日本発、最大規模のプロフェッショナルファームを目指して

 石田 裕樹 (YCP Holdings Limited グループCEO)
 長谷川 慧 (YCP Japan ディレクター、N&O Life 取締役、公認会計士)

F1のエンジニアを目指して渡米

-- 2011年8月に29歳でゴールドマン・サックス証券を辞めて独立されたわけですが、学生時代から独立を考えていたのですか。

石田 「いえ、学生時代は実はF1のエンジニアになりたかったのです。従兄に本田技研工業の技術者で二輪の研究をやっていた者がいたものですから、『F1のエンジニアになりたい』と相談したら、『それなら米国の大学に行った方がいい』と言われまして、高校2年生の時にニューヨークの公立学校に入りました。その後、レーシングカーのエンジニアリングに強いコーネル大学機械航空工学部に進んだのです。02年、コーネル大学の3年の時に『フォーミュラSAE』という自動車エンジニアやレーサーを目指す学生が参加する競技大会で優勝しまして、その時にプロのレーシングチームと知り合って、それがきっかけでエンジニアではなくF1ドライバーになろうという気を起こしまして(笑)」

-- ご両親は賛成されたのですか。

石田 「勘当寸前でした(笑)。授業料も安くはなかったですし、父は役人で堅い人でしたから。しかし、大学の単位を早めに取っていましたから卒業までの時間は好きにさせてほしいということで、カリフォルニアで1年間レースの修行をして、その後03年に日本に戻り、レーシングチームに入りました。しかし、結果的にはうまく行きませんでした。当時は小林可夢偉君とか山本左近君とか、その後F1ドライバーとして世界的に活躍するようなメンバーが若手の注目株にいて、私はとても歯が立たないということを自覚したのです。父からは、『大学院には入っておけ』と言われていたものですから、レーサーをやりながら04年に東京大学大学院工学系研究科に入ったのですが、あの時の父からのアドバイスは本当に正しかったと思っています」

企業再生の世界へ

-- そこで、大きく進路を転換させたわけですね。

石田 「はい。大学院でボストン・コンサルティング・グループ代表の内田和成さんが講師をしておられる授業に出て、企業再生という仕事に興味を持つようになって、06年にゴールドマン・サックス証券(GS)に入って企業再生を担当している戦略投資部に配属されました。企業分析などの仕事を3年ほどやったところで、当時の上司であった桐谷さん(重毅、現ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント社長)に企業再生の現場に入らせてほしいという相談をさせていただきまして、最初に出向したのは現在ドリームインキュベータの傘下にあるアイペットというペット保険の会社で、同社のほかマーキングペン先の世界トップメーカーとして知られるテイボーなど、GSを辞める11年までに3社の投資先で経営者や社員の人たちと一緒になって汗をかく仕事をさせてもらいました。若造が行くわけですから、現場では反発もあったと思いますが、GSから『石田が頑張るのでよろしく』ということを投資先の経営者にダイレクトに言ってくださった。そのおかげで、『若いけれどもGSの中で可愛がられている人間らしい』というふうに現場に迎えていただけたということはすごく大きかったと思います。一緒に業績向上に取り組んで、出向先の会社の方から『立派な会社にしてもらいました』と言われた時は無上のやりがいを感じました」

仲間と共に創業

-- 独立を決断したのはどのような理由からですか。

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