M&A専門誌マール

2014年12月号 242号 : 視点

企業買収における病理現象への対応 有料記事です

 山口 利昭(山口利昭法律事務所 代表弁護士)

一 「東証上場の落とし穴」訴訟の終結

(1)インターネット総研vs東証事件の概要

  株式会社インターネット総研(以下「I総研」という)が株式会社東京証券取引所(以下「東証」という)を被告として、上場廃止の判断を巡る損害賠償請求訴訟を提起していたところ、2014年9月9日、最高裁(第三小法廷)はI総研側の上告、上告受理申立を棄却、不受理とする決定を下した。

  東証が、I総研について株券上場契約に基づいて上場廃止処分としたのは、2007年1月、当時I総研が買収して子会社化していた株式会社アイ・エックス・アイ(以下「IXI」という)の、長期間にわたる架空循環取引(これによる有価証券報告書の虚偽記載)が発覚したことによる。正確には、東証の定める株券上場廃止基準(監査法人から財務報告に対する意見を表明しない旨が監査報告に記載され、かつその影響が重大であると取引所が認めた場合)に抵触したことが理由である。

  I総研が東証を提訴した直接の動機は、4期以上にわたり1000億円規模の架空循環取引を行っていた企業につき、東証2部上場企業という「お墨付き」を付与していた東証が、社会問題とまで言われた大型粉飾決算事件の責任の一端を担うべきではないか、という同社の問題意識からであった(2011年7月1日同社報道関係者向け「訴訟の提起に関するお知らせ」参照)。実際にも、東証への訴訟提起の前に、I総研はIXI株式の売主(元の親会社)に対する損害賠償請求訴訟において、解決金30億円という高額の和解を成立させ、またIXIの監査を担当していた監査法人との間でも、1億5000万円での和解を成立させている。もちろん、I総研としては、買収にあたりデューデリは念入りに行ったはずである。しかしその急激な売上の増加をみてI総研の代表取締役は「さすが東証2部の会社は違う」と感心し、2部上場としての社会的信用ゆえにTOBに踏み切ったのである。著名な証券会社に勧められ、著名な監査法人の適正意見が出され、そして東証上場会社という信用に基づき、当時は誰もが羨む優良企業の買収に成功したかのように思えた。
  

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