M&A専門誌マール

2013年9月号 227号 : 対談・座談会

[座談会] 新興国M&Aを成功させるための企業価値評価~プロが語る理論と実務 有料記事です

 出席者(五十音順)
 織田 耕二(プライスウォーターハウスクーパース パートナー)
 鈴木 一功(早稲田大学大学院ファイナンス研究科 教授)
 平尾 彰英(みずほコーポレートアドバイザリー エグゼクティブ・マネージング・ディレクター)

   *本座談会は7月1日に行われました。平尾彰英氏はその後の異動により、本号発行日現在、みずほ銀行資産監査部にご在職です。

左から織田 耕二氏、鈴木 一功氏、平尾 彰英氏

-- 日本企業による海外M&Aは、目立った大型案件が見られなかったことから、今上半期は前年に比べ減少していますが、日本企業のグローバル化に向けた攻めの姿勢に基本的な変化はなく、引き続きディールの動きは活発と聞きます。中でもASEAN諸国を中心に新興国へのM&Aは、対中国の停滞を除き、非常に活況で、中堅中小企業にも広がってきているようです。そうした中、新興国M&A特有の難しさもクローズアップされています。本号では、その中でも価格交渉に直結する企業価値評価を取り上げました。

  国内M&Aにおける企業価値評価の手法はかなり標準化され定着した感がありますが、クロスボーダーM&A、特にアジアを中心とする新興国M&Aにおける企業価値評価については、インフレやリスクをどう見るかなど、まだまだ整理すべき問題が多く、実際の算定・評価においても、その手法や前提の置き方がまちまちといった指摘もあります。

  新興国M&Aにおける企業価値評価は実際にどのように行われているのか。新興国特有の難しさはどこにあるのか。企業価値評価のプロセスや算定結果をM&Aの成功にいかに活用すればよいのか。専門家の皆様に議論していただきます。それでは、簡単に自己紹介からお願いします。

自己紹介

織田 「私は、大学卒業後に事業会社で10年間ほど財務部門に在籍し、主に海外関係子会社の資金調達や海外投融資案件の審査等の業務を担当しました。その後、2002年にPwCに入社し、M&Aトランザクションの支援業務に従事し、企業価値評価業務を中心に担当しています。M&Aトランザクションにおける企業価値評価のほか、財務報告に必要なパーチェスプライスアロケーションや減損テストのための価値評価、その他の企業・事業価値等の評価が主な業務です。振り返りますと、2002年以降数年は、国内案件、特に再生案件が多く、日本オフィスで扱うクロスボーダー案件はさほど多くはありませんでした。業務遂行においても、PwCの海外オフィスが現地でエグゼキューション業務を担当して、日本側は国内クライアント企業とのコーディネーションが中心でした。しかし最近は、私の担当する案件の3分の2以上がクロスボーダー案件、その半分以上が新興国案件です。業務の遂行方法についても、日本企業をクライアントとする場合には、クライアントに密着して深いコミュニケーションをとりながら業務提供するため、現在は、新興国を含むクロスボーダー案件の企業価値評価業務を、日本オフィスがメインとなって、海外オフィスのデューデリジェンス(DD)等々の結果を踏まえながら実行するという形態が基本になっています」

平尾 「私は1985年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行後、国内業務を経て、米国に留学。米国で融資業務などを経験したあと、96年に日本に戻って旧富士銀行の情報開発部というM&Aアドバイザリーの部署に着任しました。以来、『みずほ』への統合やその後の組織再編などによって所属する組織は変わりましたが、17年間にわたり一貫して、みずほグループでM&Aのアドバイザリー業務に従事しています。当初はクロスボーダーのチームに入ったのですが、2001年からの5年間は織田さんのお話の通り、再生案件が華やかなりし時代で、統合、事業売却、デットリストラクチャリングを絡めたターンアラウンドなどのアドバイザリーが中心になりました。06年頃からは不良債権処理も終わり、事業会社も前向きの投資を検討するようになりましたので、改めてクロスボーダーに注力しようということで、みずほ証券のアドバイザリーグループの中にクロスボーダー開発室を立ち上げ、その後、07年から米・ニューヨークのブリッジフォードグループ(みずほ証券のM&A専門子会社(当時))で、10年からはみずほコーポレートアドバイザリーで、それぞれクロスボーダー案件の旗振り役を務めてきました。商業銀行業務のキャリアよりM&Aなど投資銀行業務の方がはるかに長くなりました。織田さんからお話があった通り、昨今は新興国向けの投資案件が非常に多くて、マレーシアやインドのアウトバウンドの案件を今も手掛けているところです」

鈴木 「早稲田大学大学院のファイナンス研究科で教えていますが、元は銀行マンです。1986年に富士銀行に入りまして、企業派遣でロンドンビジネススクールで学び、ファイナンスの博士号を取得しました。その後帰国し、99年から、富士コーポレートアドバイザリー(現みずほコーポレートアドバイザリー)で、チーフアナリストとして企業価値評価モデルの開発等を担当しました。その後銀行を退職し、2001年から中央大学アカウンティングスクール(専門職大学院国際会計研究科)で教えました。早稲田には12年に転籍して現在に至っております。大学ではコーポレート・ファイナンスや企業価値評価を中心テーマにした授業を行ってきていて、それを基にDCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)の手順を解説した『企業価値評価【実践編】』という書籍を執筆しました。実務面では、現在もみずほ銀行のALCアドバイザリー部(M&A関連部署)において、実際に担当者の作成した企業価値評価モデルに対するアドバイスをさせて頂いていまして、企業価値評価に関してファイナンス理論と実務で使われているモデルとのバランスをいかに取っていくのか、そのあたりの理論武装について研究しています。本日は、企業価値評価の実務現場の現状をお聞きしながら、皆さんと考えていきたいと思います。進行役的な役割も果たしてまいりますので、よろしくお願いします」  

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アジア , グローバル化 , 会計税務 , 企業価値評価・DD , IFRS , M&Aプレイヤー , 丹羽昇一

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