M&A専門誌マール

2013年7月号 225号 : 対談・座談会

[座談会] 日本におけるPEファンドの歩みと「アベノミクス」下の役割 有料記事です

 出席者(五十音順)
 安達 保(カーライル・ジャパン・エルエルシー 日本共同代表)
 川﨑 達生(ユニゾン・キャピタル パートナー)
 深沢 英昭(東京海上キャピタル 社長)

左から深沢 英昭氏、安達 保氏、川﨑 達生氏
英米に大きく引き離されたPE投資


-- 日本におけるプライベート・エクイティ(以下、PE)ファンドの運営会社の歴史を振り返ってみますと、1996年の独禁法改正によって純粋持株会社が法的に認められるようになったことでPE投資が可能となったことを受けて、97年にアドバンテッジパートナーズが日本初のバイアウト専用ファンドへのサービス提供を開始したのが始まりといっていいと思います。PEファンドは欧米では、すでに銀行や証券会社等既存の金融機関と並ぶ金融仲介の担い手として一定の地位を確保しています。しかし、日本の場合はGDPに比較して、PE市場の規模は欧米に比べてまだまだ小さいといえます。その背景には、企業売却に対する抵抗感が強いことなどがあると言われます。そうした中で、安倍首相が推し進める、いわゆる「アベノミクス」のもと成長分野へのリスクマネー供給を増やすため、政府内で公的年金の運用の抜本的な見直しが進んでおり、投資対象の拡大については国内外の株式、債券の枠以外に、インフラ投資ファンドや未上場の株式(PE)への運用枠を作ることを検討する動きも出るなど、PEファンド業界においても潮目が変わろうとしているのではないかと思います。そこで、日本におけるPEファンドの歩みを振り返り、今後の日本経済の成長に果たす役割、さらに課題などについてお話し合いをしていただくことにいたしました。深沢社長には進行役もお願いしております。では深沢社長、よろしくお願いします。

深沢 「今言われたように、アドバンテッジパートナーズの1号ファンド設立が97年だとすると、日本におけるPEファンドの歴史は16年になるわけですが、本格的に日本市場でPEファンドが活動し出してから約10年という節目を迎えているといっていいと思います。安達さんはグローバルPEファンドの日本共同代表として日本企業のM&Aに携わってこられたのですが、まず安達さんから自己紹介を含めて日本におけるPEファンドの活動について振り返っていただけますか」

安達 保氏安達 「私がカーライルに参画したのは03年で、ちょうど今年で10年になります。前職はGEキャピタルにおりまして買収案件に携わっていたのですが、M&Aが日本で増えてきたという環境の中で、日本的なM&Aの可能性を追求してみたい、そのための器としてカーライルというのは非常におもしろそうだと思ったというのが、私がカーライルに参画した経緯です。そういう意味では、日本におけるPEファンドの10年は私の10年でもあるのですが、私がカーライルに入った頃は、カーライルの名前は一部の業界の人には知られていたかもしれませんが、一般の事業会社の方々にはまだまだ知られていない状況でした。PEファンドというのは何をやるのかということに関して非常に認識が低かったと記憶をしております。そういう中で、徐々にいろいろなファンドの方々のご努力によりディールが成立していき、大きな流れとして07年ぐらいまではPE投資は右肩上がりで増えていきました。05、06年ぐらいから外資系のグローバルファンドの参入も増えてきて、日本のPE市場はこれから広がるのではないかというような期待感の下に随分活動されてきたわけですが、残念ながら08年9月のリーマン・ショックを受けて日本企業の業績低迷等々があり、非常にPEファンド業界にとって厳しい環境となって、外資系PEファンドの中には途中撤退するところも出るというような状況がこの10年間だったと思います。案件を見ましても、最初は大企業がPEファンドを活用するというより、どちらかというと中堅、あるいは中小の企業がPEファンドの力を借りて会社を変えていこうというタイプの案件が多かったように記憶をしています。その後、次第にPEファンドというものが世の中に知られるようになり、大企業についてもPEファンドを使ったスピンオフの案件というものが創出されていったというのが大きな流れのような気がいたします。

  それでは、グローバルに見て主な先進国、新興国についてPE投資の浸透率はどうかと言いますと、2010年のGDPに対するPE投資の割合を見ますと、一番浸透率が大きな国、言い方を換えればPEファンドを活用している国はイギリスで1.13%。その次は米国の0.90%。その後に新興国であるBRICsのインド(0.44%)、ブラジル(0.23%)、中国(0.16%)、ロシア(0.11%)などが並びます。日本におけるPE投資ははるかに小さく0.04%となっていまして、数字だけを比較しますと日本のPEマーケットは英国、米国といった先進国の二十数分の一にとどまっているというのが現状です。そういう意味では日本のPE市場というのは海外のPE市場に比べると非常に小さい。逆にいえばまだまだ市場として伸びるポテンシャルがあるということもいえると思います」

川﨑 「私どもユニゾン・キャピタルは98年に日系・独立系投資会社として創業いたしました。99年に1号ファンド“Unison Capital Partners, L.P.”を380億円で設立し、これまでに21件の投資をしています。私は大学を出た後、ゴールドマン・サックス証券に入りました。そこで現在のパートナーである江原(伸好・代表取締役)と一緒だったのですが、ビジネススクールを経て、マッキンゼーに入り、安達さんにしごかれました(笑)。その後、米国の小さなベンチャーで働いていました。当時はちょうどシリコンバレーでのインターネット関連の投資が急に増えたときで、ベンチャーキャピタリストというのはこういうことをするのかというのを、投資される側から見ていて、これは面白い仕事だと思うようになったのです。その頃、日本では北海道拓殖銀行をはじめとする金融機関の経営危機が取りざたされ、いろいろな意味で日本を支えてきた経済基盤が大きく変わる時期でもあったものですから、日本で何かできるのではないかということでユニゾン・キャピタルを立ち上げたのです。10年前を振り返りますと、例えばTOB(株式公開買い付け)の方法については教科書に書いてあるけれども会計士、税理士の先生方の中で実際に経験した方がいなかったという時代で、隔世の感があります」
 

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