M&A専門誌マール

2013年7月号 225号 : マールインタビュー

No.158 ファイナンス分野を核にJAL再上場から会社法制見直し審議まで多彩な活躍 有料記事です

 三原 秀哲(長島・大野・常松法律事務所 弁護士)

三原 秀哲(長島・大野・常松法律事務所 弁護士)

キャッシュ・アウトで少数株主への配慮訴える


-- 法務省法制審議会会社法制部会の幹事を務められました。

  「法務省から日本弁護士連合会(日弁連)に対して委員と幹事の推薦依頼がありました。私は日弁連で官公庁へ様々な建議をする委員会の商事経済部門にいた関係で法制審議会会社法制部会(会社法制部会)幹事就任の打診を受けたのですが、日本では残念ながら企業不祥事が後を絶ちませんし、経済は長期にわたり低迷していましたので、この会社法制の改正を通じ、日本が再び輝くような企業社会への道を歩む契機になれば、との期待を抱いて幹事をお引き受けしました。また、会社法制部会の委員には本渡章弁護士(東京弁護士会)がご就任されました。私は上場企業を依頼者とする仕事が多いのですが、立場がものを言うような発言は行わず、今後の長いスパンで会社法制が社会のため、国民のため、日本全体のためになるよう、私心を捨て、正しいと思うことだけを発言しようと考えて臨みました」

-- ご発言が実った点がありましたか。

  「誤解があるといけませんので申し上げますと、日弁連推薦の委員・幹事は事前に日弁連内で協議し、そのうえで発言していますので、私の発言が私一人の考えで出来上がっていたというわけではありません。とはいえ、会社法制部会で発言して、最終的に幾つか認めて頂いた制度があることも事実です。たとえば、今回の見直しでキャッシュ・アウト制度が提案されました。それ自体の賛否は別として、これを導入した場合に、少数株主退場の手続きの適正性を、非上場会社や中小企業の場合には上場会社とは異なった形で確保するという改善点を認めて頂いた点があります。法務省から提案されたこの制度では、すでに90%以上を取得した特別支配株主が、対象会社に通知し対象会社の承認を得たときは、残り10%未満を保有する少数株主に通知して、株主総会手続きなしに、自分に株式を売り渡すよう請求できるというものです。端的に言えば、現金を対価とする少数株主の会社からの締め出しです。現行法でも、全部取得条項付種類株式を使うなどして実際上キャッシュ・アウトは可能ですが、定款変更のための株主総会が必要です。これを一歩進めて、90%以上の株主は、株主総会手続きなしにキャッシュ・アウトができるというのが法務省の提案でした。もちろん、価格に不満な少数株主は、取得日前日までの一定期間内に裁判所に価格決定の申し立てができるのですが、法務省の最初の案では、上場会社も非上場会社も同じように通知は公告で代替できるという規定でした」

-- 通知と公告はどう違うのですか。

  「どちらも意思や事実を他人に知らせる方法です。通知は一人ひとりに伝える。これが原則です。これに対し公告は官報や新聞などで伝える方法です。伝える側にとっては、公告のほうが簡便で、上場会社のように株主が多数で流動的な場合に適しています。これがすべての会社に適用される形で制度化されてしまうと、非上場会社・中小企業で問題が起こるのではないかと考えたのです」

-- どんな点ですか。

  「まず、上場会社では、日本経済新聞の公告や取引所でのプレスリリースあるいはホームページを通じて株主は情報を知るのが通例です。それと同じ前提で、非上場会社や中小企業でも公告でよいとしていたのが当初案ですが、これだと中小企業等の少数株主が公告を見落とし、知らないうちに株主権を失う事態も多く発生します。株主総会も開かれません。少数株主がある日、気がつくと、株式の代金が支払われ、株は取り上げられていた。すでに価格決定の申立手続きの期間は過ぎている。文句を言ったら、公告を見なかったのが悪いと言われる。では、非上場会社・中小企業でどれだけの人が公告を見ているのでしょうか。官報公告ですと、ほとんどの人は気がつかないでしょう。このままでは中小企業の事業承継や相続で争いの元となり、多くの紛争が裁判所に持ち込まれる恐れがある。社会から支持を得られない制度、国民のためにならない制度を生み出してしまうのではないかと考えました」

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