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特集

ビジネス・デューデリジェンスの実際
2017年5月号 271号(2017/04/17発売)

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第91回 クロスボーダーM&Aにおける再PMIの要諦

[M&A戦略と会計・税務・財務]
第91回 クロスボーダーM&Aにおける再PMIの要諦 有料記事です

 橋本 直武(プライスウォーターハウスクーパース シニアマネージャー)
1. はじめに   日本国内市場の縮小を受けて、成長の源泉を海外に求めることが多くの日本企業における基本戦略となっている昨今、海外企業の買収はもはや当たり前の選択肢の一つとなっている。しかし、海外企業の買収にあたっては、海外業務に対応できるリソースが不足していることなどを理由に、買収後の統合業務がどうしても手薄になりがちである。その結果、統合業務がほとんど行われない、もしくは中途半端な状態でストップし、放置されているケースが多く見られる。こうしたケースにおいては、日常業務の延長線上で大きな改革を行うことは難しく、改めて統合業務を実施する必要がある。   本稿では、このようなクロスボーダーM&Aにおける再PMI(Post Merger Integration)を行うにあたって、押さえておくべき要諦を整理する。 2. クロスボーダーM&Aにおいて再PMIが必要となるケース   クロスボーダーM&AのPMIにおいて陥りやすい落とし穴としては下表のようなものがある。一言で言うならば、「遠慮およびリソース不足により、買収した企業を放置している」ことが元凶である。国内企業をターゲットとする買収でも同様の現象は見られるが、海外企業を買収する場合、「言葉が分からない」「現地の事情は現地でないと分からない」といったことから、さらに遠慮とリソース不足の問題が大きくなる。また、単純に「遠いために日々の業務において視界に入らない」ことも要因であると思われる。   以下に挙げたような現象が生じている場合、再PMIを実施すべきである。

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[座談会]ベンチャービジネスの新潮流

[対談・座談会]
[座談会]ベンチャービジネスの新潮流 ~日本の「モノづくり」、「大学発」ベンチャーにもグローバルM&Aなど新たな流れが到来する 有料記事です

 井出 啓介(東京大学エッジキャピタル パートナー)
 小笠原 治(ABBALab 代表取締役)
 山岸 広太郎(慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長)
 渡辺 洋行(B Dash Ventures 代表取締役社長)  (50音順)

「モノづくり」、「大学発」ベンチャーを立ち上げた狙い ―― アベノミクスの新たな目玉として「第4次産業革命」が掲げられて注目されています。第4次産業革命とはIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボットという3つの新技術をドライバーとして産業全体の構造変化を促そうというもので、2020年までに30兆円という市場を創出する目標を掲げています。この第4次産業革命ではベンチャー企業も重要な役割を担うものとして期待されています。   そこで、今回はモノづくりベンチャー、大学発ベンチャーの育成に力を入れているベンチャーキャピタルの皆さんにお集まりいただき、ベンチャービジネスの新潮流についてお話し合いをいただきます。座談会のモデレーター役を日本ベンチャーキャピタル協会の理事も務めておられるB Dash Ventures(BDV)の渡辺洋行社長にお願いいたしますが、まず、ご出席者皆さんの自己紹介をお願いします。

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[座談会]日本のガバナンス改革の進展と戦略的企業買収の行方――王子製紙事件から10年、提案型TOBはどうなるのか

[対談・座談会]
[座談会]日本のガバナンス改革の進展と戦略的企業買収の行方――王子製紙事件から10年、提案型TOBはどうなるのか 有料記事です

 田中 亘(東京大学 教授)
 ニコラス・ベネシュ(公益社団法人役員育成機構 代表理事、在日米国商工会議所成長戦略タスクフォース 委員長)
 川村 尚永(経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長)
 司会・編集 川端 久雄(編集委員、日本記者クラブ会員)

<はじめに> ―― 日本のコーポレートガバナンス改革はこの1、2年で大きく進展しました。2015年が元年と言われ、今年はその2年目に当たります。ガバナンス改革(企業統治改革)の狙いは、日本企業の稼ぐ力の回復、日本経済の再生にありましたが、一連の改革により企業買収やM&A全般を取り巻く環境も変わっています。   一方、M&Aに目を転じると、2015年は世界的にM&Aがブームとなりました。製薬業界やビール業界で巨大企業が誕生しています。日本も海外M&A(IN-OUT)が過去最高となり、トータルの金額も過去2番目の額になりました。日本も一見、活況を呈しているように見えますが、欧米と比較すると質量ともまだ低調です。敵対的TOBに代表される提案型TOBがもっと活発になれば、日本のM&Aはさらなる飛躍を見せるのではないでしょうか。   折しも、2016年は王子製紙(現王子ホールディングス)が北越製紙(現北越紀州製紙)に対し敵対的TOBを試みたものの、失敗に終わってからちょうど10年目になります。   今だったら、王子のような敵対的TOBは成立するのか。ガバナンス改革により、日本の企業買収はどのような影響を受けるのか。さらに提案型TOBを促進するため、日本の買収法制などを見直す必要があるのか。   本日は、第1部で企業買収の観点からガバナンス改革の経緯、狙い、到達点を整理するとともに、今後のガバナンス改革の方向性についてもお話をしていただきます。続いて第2部で日本のM&Aの現状、敵対的TOBの意義、王子・北越事件とその後、提案型TOBの可能性、買収法制について日本が進むべき道などについてご議論をしていただきます。   田中亘東京大学教授は会社法と企業買収法制についての第一人者です。ニコラス・ベネシュ公益社団法人役員育成機構代表理事は、日本のコーポレートガバナンス・コード策定の影の功労者と言われています。川村尚永課長は日本の産業組織の改善などの担当課長で、金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」のメンバーなども務めておられます。

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第101回 DDの失敗、可視化の失敗、コントロールの失敗

[ポストM&A戦略]
第101回 DDの失敗、可視化の失敗、コントロールの失敗 有料記事です

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)
  時々、企業の業績不振が「M&Aの失敗」として報じられることがある。その多くは、買収事業の業績が立ち行かなくなったこと、あるいは会計上の大きな問題が露呈したことについてのものである。しかし中には、当該M&Aがずいぶん前に実施されたケースもあり、そうするとこれをM&Aの失敗、特にデュー・デリジェンス(DD)の失敗として整理するには、少なからず無理があるようにも思われる。   クロスボーダーM&Aが日本企業の成長に不可欠である以上、「クロスボーダーM&Aは、とにかくリスクが高いから気をつけよ」と一口にまとめてしまわず、長大なM&Aのどのステージで何をなすべきかについて、もう少し議論を分けて行うことが必要なのではないか。本稿では、このような問題意識のもとに、クロスボーダーM&Aの失敗要因を、「DDの失敗」「可視化の失敗」「コントロールの失敗」に大別し、解説を試みる。 M&Aの失敗:論じる難度の高いテーマ   M&A、中でも特にクロスボーダーM&Aは、内容やプロセスが複雑で、そのために当事者が多くなることが特徴であろう。当事者が多いということは、人によって成功・失敗の見方がいろいろあり、各自の見えているものや理解度にもいろいろ違いがある、ということである。他人(社内他部門)に言いたくないことだって、当然ある。このことは、案件のクロージング後に「M&Aの振り返り」と称し、全体像を解明するエクササイズを行えばすぐにわかる。   つまりM&Aとは、社内でよほどしっかりと、しかも腹蔵なく総括し、できれば社外の眼も入れて初めて本当のところがわかる、そんなややこしい話である。   また、案件成立からずいぶんと時間がたって何らかの問題が出てくるケースでは、それがそもそもM&Aの問題なのか、という議論にもなろう。つまり、すでに長い時間が経過しているのであるから、M&Aの問題というよりは、その企業の事業や子会社に対するコントロール(ガバナンス)の問題、あるいは環境変化や危機に対処する組織能力の問題、と考えたほうがわかりやすそうだ。   このように、「M&Aの失敗」は難しい要素を多く含む。理解するのが難しいと思えば、誰しもそれだけで慎重になるものだ。しかし一方で、事業成長に必要なM&Aに対して、慎重になりすぎるのも適切でないだろう。この局面でまず必要なアプローチは、物事を分けて考え、それぞれに議論を深めることである。そこで本稿では試論として、M&Aの時間軸、あるいはステップ観に沿って、M&Aの失敗の要因を「DDの失敗」「可視化の失敗」「コントロールの失敗」の3段階に分け、それぞれの概要と問題が起きた場合の対処方法を論じることとしたい(図1)。

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急拡大するベンチャー企業へのM&A

[M&Aスクランブル]
急拡大するベンチャー企業へのM&A ~事業会社の直接投資がCVC投資を上回る~

全体動向  2016年の日本企業のM&Aは2652件、16兆6133億円で、件数、金額ともに前年を上回った。件数は5年連続の増加、4年連続の2000件超え、金額は2年連続の16兆円超えとなった。日本企業が事業構造改革を進めていくなかで、成長の追求などを背景に海外M&Aが引き続き活況だったほか、国内では大手企業を中心に事業ポートフォリオ入れ替えの買収、売却が増加した。中小企業のM&Aによる事業承継の動きも活発だった。  ベンチャー企業へのM&Aも急拡大している。2016年は446件で前年比145件、48.1%の大幅増加となった(図表1参照)。M&A全体の16.8%を占めている。レコフデータがベンチャー企業へのM&Aの集計を開始した2000年以降で最多を記録。また、2013年の176件以来、4年連続での最多更新となった。さらに、2012年の88件と比較すると、この5年間で5倍に拡大したことになる。  446件のマーケット別内訳はIN-IN319件、IN-OUT99件、OUT-IN28件で、IN-INが71.5%を占める。前年の200件から59.5%増加し、全体の数字を引き上げた。  他方、金額も5942億円と、前年の4676億円から27.0%増加し、2014年の6279億円に次ぐ高水準となった。5942億円のマーケット別内訳はIN-IN978億円、IN-OUT4916億円、OUT-IN47億円で、IN-OUTが82.7%と、圧倒的に多い(図表2参照)。 …

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M&Aの成否を決めるトップの覚悟

[寄稿・寄稿フォーラム]
M&Aの成否を決めるトップの覚悟 有料記事です

 松田 千恵子(首都大学東京大学院社会科学研究科 教授)
  M&Aは、今や日本企業の経営戦略上欠かせない手段のひとつとなっている。しかし、それだけに課題も山積しているのが実状だ。よく言われることに「PMI(Post Merger Integration)の難しさ」がある。確かに難しいのは事実だ。M&Aはいわば「外科手術」である。手術自体が成功したとしても、その後合併症が起こったり拒否反応が出たりするのはむしろ当たり前で、元通りの健康体となるには時間と労力を要する。だが、よくみるとPMIの問題とされているうちのかなりの部分は、PMI以前の、もともとの企業にまつわる問題であることも多い。 すべては戦略に始まる   ひとつには、事業自体の戦略が明確でない場合が挙げられる。将来の方向性を定め、それを実現するために必要な経営資源を特定し、その経営資源を自前で揃えるのか外部から取り入れるのかの比較検討を行う。外部から取り入れるにしても、事業買収や業務提携といった手段もありえる。資本の移動が必要な合併や買収は、企業そのもののリスクを丸ごと抱えることになる最後の手段である。どうしてもそれしか選択肢が無いことをしっかり見極めて進めることが必要だ。しかし、「どういう将来を目指して行うのか」「どのような経営資源がほしくて行うのか」が不明朗なディールは依然として多い。規模の経済性が働かない事業なのにいたずらにマーケットシェアを取りにいったり、中期経営計画目標の未達分を埋めようと無理に行ったりするM&Aが成功するわけがない。逆に、戦略がはっきりしていれば、PMIにおいて行うべき統合計画はこの時点で既に練ることができる。不明確な戦略はPMIをより難しくする。

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ダイドードリンコ

[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]
ダイドードリンコ 業界再編が進む中、独自のビジネスモデルで事業拡大を目指す

1.寡占化する清涼飲料市場  清涼飲料は成熟市場と言われているものの、国内出荷額はここ数年微増で推移している(図表1)。近年猛暑が続いていることに加えて、食品メーカーによる商品ラインアップの拡充、スーパー、ドラッグストア等による価格の引き下げ、また、コンビニエンスストアなどでのPB商品取り扱いといった企業努力が一定の成果を生んできたと考えられる。  スーパー、コンビニ等に並ぶもう一つの主要な販売チャネルは自動販売機(以下、自販機。)である。チャネルとしては約3割を占めているが、スーパー、コンビニの飲料販売拡大やコンビニ店頭での出来立てコーヒーなどの普及もありその割合は低下傾向。2000年代、国内自販機普及台数はほぼ横ばいの約250万台(文末注1参照)で推移してきたと伝えられている。  しかし、メーカー側からみれば小売りからの値下げ圧力を受けにくく、無人で営業でき、設置に広いスペースは不要である。消費者の目線でいえば24時間、ワンタッチで商品を購入でき利便性が高い。最近では、災害支援型自販機やAED(自動体外式除細動器)付帯・搭載の自販機などといった社会貢献の側面を持つものも現れた。チャネルとしての割合が低下したとはいえ、自販機の特徴を考えれば飲料メーカーにとって依然として重要な販路であろう。  これまで、清涼飲料業界では代表的な大型M&Aとして、2012年のアサヒグループホールディングスによる味の素子会社のカルピス買収、2015年のサントリー食品インターナショナルによるジャパンビバレッジホールディングス等JT子会社の買収があった。アサヒは2001年に子会社のアサヒ飲料がカルピスと清涼飲料を扱う自販機での相互販売契約を締結しており、2008年には自販機事業を統合していた。サントリー食品インターナショナルが買収したジャパンビバレッジホールディングスは、自販機事業を主要事業としていた。買収の目的の一つは自販機がチャネルとして重要である反面、飽和状態と言われていることに鑑み、一層の効率化、規模拡大による投資資金の確保などを図ることであった。  これにより、国内清涼飲料市場は2強と言われるコカ・コーラグループとサントリー食品インターナショナルで約5割のシェア(販売数量ベース)を占め、これにアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園までを含めると計5社で約85%と伝えられており、寡占状態になっている。残りの約15%にはポッカサッポロフード&ビバレッジ、大塚製薬、ダイドードリンコなどが含まれる。 2.再編から距離を置くダイドードリンコ~事業概要と今後の経営方針~  大手メーカーと比べて売り上げ規模は小さいものの、経営統合やこれを前提とした資本・業務提携から距離を置いているのがダイドードリンコである。同社の祖業は配置薬業であった。1956年に設立された大同薬品工業として事業をスタートし、その後、ドリンク剤の販売などを手がけるようになった。そして、1973年に、当時運転手に眠気覚ましとして人気を集めた缶コーヒー事業に参入した。この清涼飲料販売事業が収益の第2の柱となり始めたことを機に、1975年には同事業を分社化してダイドー(現ダイドードリンコ)を設立。現在では同社の主力事業となっている。さらに、HOTとCOLDが同時販売できる自販機の登場を機に、自販機事業に参入した。2012年に入るとフルーツデザートゼリー市場シェアNo.1のたらみ(長崎市)を買収してグループの第3の柱とし、現在に至っている。  ダイドードリンコの2016年1月期の売上高は1499億円、当期純利益は23億円だった。現在、売上高構成を「飲料販売」、「飲料受託製造」「食品製造販売」の3部門に分類している(図表2)。  中核事業である「飲料販売」の売上高は1242億円と、全体の83%を占める。うち、売上の約85%は自販機によるもので、商品別ではコーヒー飲料が57%を占める。自社工場を持たないファブレス体制で、生産を外部の協力工場に全て委託しており、物流もアウトソーシングしている。  「飲料受託製造」は売上高85億円。全額出資子会社の大同薬品工業(奈良県葛城市)がドリンク剤の研究、開発、製造に取り組み…  

2017年1-3月のM&A件数と金額

2017.03.31現在 集計

  IN-IN IN-OUT OUT-IN 合計
件数 (件) 469 150 35 654
増加率 3.1% -5.7% -32.7% -1.8%
金額 (億円) 4,723

18,669

4,296 27,689
増加率 -60.3%

34.0%

-52.2% -20.5%

 *2016年1-12月の日本企業のM&A動向は、こちら

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